2016年12月22日木曜日

1419号を迎えにいってきました!



氷点下20度よりももっと冷え込んだ12月16日、
1419号のお肉を迎えにいってきました。


 
 
 
 
1419号は、2014年5月生まれのブラウンスイス。
オス牛です。
 
 
 
 
 
今回の1419号サンクスビーフは、ベガーズハーレムさんやオステリアブラさんをはじめ、
お世話になっているレストランさんにお届けするものが多く、
小分けしての一般販売が難しそうなのですが…^^;



もし近々どこかのお店で井上牧場産のお肉に出会ったら、
それは1419号のお肉かもしれません!


 
 
 
 
 
1419号は、前回の1398号に続いて、
とっても人が好きな牛くん。
おかげで1419号の写真がたくさん残っているので、
ここで使わせて頂きますね!^^
 
 
 
1419号は、ブラウンスイスの特徴どおり鼻の周りがばっちり白くなってます。
それから両側の角が結構長くなっているのが見分けポイントです。
 
 
 
 
 
 
性格はたぶん、好奇心旺盛なお調子者。
放牧場や牛舎の中に入ると、とにかく距離が近いです…。
 
 
 
  
 
私次女がカメラを持って放牧場へ
(今の季節は牛舎!)
牛さんたちの様子を見に行くときも、
だいたい近くに寄ってきて、
「オレのことも撮って~」って言ってるような気がします。



 

でも1419号はちょっとだけ不運。
井上牧場では基本的に、
生まれた順番に「個体識別番号」を振り分けて
耳に数字をつけて、
サンクスビーフとしては基本的には先に生まれた牛くんから出発してもらっているのですが。


12月22日現在、
1419よりも数字が1つ早い、
「1418」の番号をつけたヤツがいるのです。
 
 
 
こいつです↓
 
 
 
 

12月に1頭「出すよ」と聞いていたので、
オス牛くんたちの中で一番若い番号をつけているこいつ、
1418号が出ていくと思ってて、
写真を撮っておかねばと1418号を追いかけていたのですが…
先に出ていくのは1419号でした。
 
 
 
理由は簡単、
1419号のほうが体が大きいからだそう…!
(体も大きいけど、顔もデカイ。。。)
 
 
 
 
 

1419号は、2014年の5月11日生まれ。
1418号は、同じく2014年の5月7日生まれ。

 
 

4日違いで生まれたこいつらは、
2年以上、同じ場所で生活してきたはず。
そしてちょっと体が大きく育ってしまったばっかりに、
先にお命を頂戴することになったのが1419号。
 

 
 ↓左から、1418号、1419号、1398号。
 
 
 
 
ところで、
牧場に遊びに来られる人の中には、
1419号のように、
角が生えているのを見て驚かれる方もいるのですが、
基本的に牛には角が生えます!
 

よく知られている乳牛に角が生えていないのは、
多くの場合、比較的小さい頃に「徐角(じょかく)」しているからです。



 
 
角、がうまくできないと、
1419号や1398号みたいに、
結構大きな角が生えてきてしまうそう。
 
 
 
 
 
 

この徐角も、
本日触れてみたい「アニマルウェルフェア」に関わることなのですが、
徐角についての詳しいことはまたの機会にお伝えできたらいいなと思います~!


 





牛たちの様子をみていていつも思うのは、
こんなに大きい体して、
走るのも速いし、
すごいパワーを持っているのに、
私たち人間を傷つけようとはしないんだなあということ。
(もしかしたら…襲ってくることも、あるのかな??)





その気になれば私たち人間なんて突進して踏みつけるだけで
殺してしまうこともできるのに。

こっちはいつか命を頂戴してしまおうと、思っているのに。

牛はすごく優しい動物だなあと、いつも思います。




井上牧場の牛くんは、
お肉になる前の日に運送業者さんが迎えにきてくれて、
お肉にしてもらう工場(屠畜場)まで連れていってもらっております。


なので、生きている1419号とお別れするのは、
トラックに乗ってここを出発していくところまで。


私が今年、井上牧場の近くに引っ越してきてからはもう、
何頭かの牛くんが出発していったのですが、
まさに牧場を出ていくタイミングに
立ち会うことができたのは初めてでした。





生まれてからずっとここで暮らしてきたのに、
突然現れた知らない人がロープで引っ張って、
知らないトラックに乗せようとしたとき、
1419号は、
イヤな気持ちで、
怖いなあって、
むかついたりして、
ここを出ていったように思いました。





所詮、「経済動物」である牛の、
どうせ殺してしまう食材の感情なんて、
考えるのが間違っているし、
考えても意味のないことだと
思われてしまうでしょうか。





そもそも、
「経済動物」って何だろうって思うんです。
 
 
人間に都合のいいように改良されているけれども、
牛は牛で、
命をもった動物です。
 
 
 
 
「経済動物」とか言うカテゴリは人間の都合で、
ペットとして愛される犬や猫と、
動物園で大切に飼育されている動物たちと、
同じ生き物です。
なんなら、
その命を削ってダイレクトに私たちの体の一部になってくれる、
リスペクトするべき、
最大限感謝するべき動物たちのはずなんだよな~と。
 
 
 
 
 
「アニマルウェルフェア」という言葉が、
日本の世の中に少しは浸透してきているかなと思います。
 
 
 
 
アニマルウェルフェアは、日本語にすると「動物福祉」。
「福祉」は、「幸せ」や「豊かさ」という意味する言葉です。
1964年に出版された「アニマル・マシーン(ルース・ハリソン著)」をきっかけに、
ヨーロッパで生まれ、世界中に広まった考え方です。
 
 
 
 
アニマルウェルフェアの基本として、
「5つの自由」が世界的に普及しています。
 
 
 
 
【5つの自由】
・飢えと渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、傷害、病気からの自由
・正常な行動を表出する自由
・恐怖と苦悩からの自由
 
 
 
 
つまりは、
この5つの自由が叶わない状態で、
牛や豚、鶏が飼育され、
肉や牛乳、卵を生産するためだけの「物」、「機械」として、
扱われている状況が多くあった、
  
あるいは、
今現在も、
続いているということが言えるでしょう。
 

 



農林水産省でも、「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理指針」なる文書が作られ、
普及に努めているところだそうです。




“アニマルウェルフェア(Animal Welfare)は、日本語では、「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される場合があります。
しかし、「福祉」という言葉が社会保障を指す言葉としても使用されていることから、本来の「幸福」や「良く生きること」という考え方が十分に反映されておらず、誤解を招くおそれがあります。
そのため、家畜(産業動物)においては、「アニマルウェルフェア」を「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と定義しています。

引用;農林水産省|アニマルエルフェアについて"
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html





たくさんの食べ物を、
より早く、
よりたくさん、
より安く作りだすため、




牛や豚や鶏など、
いわゆる「家畜」たちは、
より狭いところで、
より成長が早まるだろうと考えられる飼料を与えられたり、
より早く大きくなるような薬や物質を投与されたり、
より傷ついたり、
より早く命を奪われてしまうような、
畜産の方法が広まりました。







そういった、
「工業的な畜産」は、
動物たちにとってとても辛いということだけでなく、
そんな辛い環境で過ごすとても健康とはいえない動物たちの血や肉や卵は、
安全でおいしい
食事と言えるのか、
ということもまた、
大きな問題とされています。








ときどき様子を見に行って、
挨拶を交わして写真を撮っていただけの関係ですが、
そんな私からみて1419号は、
結構楽しく過ごしていたと思うんです。




(冬場は、寒いし狭い牛舎で汚いし、不満に思っていたかもしれないけれど…!

↓この写真もなんかちょっと不満そうな顔をしている…ように見える…。)







1419号のお肉を食べるとき、
1419号のことを思い出します。

よく知っているアイツを食べてしまうことは、
とってもヒドイことかもしれませんが、
そんな食事ができることに、
すごく感謝しております。





こうしてたまに、
井上牧場の牛たちの様子を伝えながら、
普段口にする食事のこと、
それを育てたり、食品にしたりする人たちのことを、
知ってもらえるきっかけになったらいいなあ~と。




そして、
値段ではない違う視点で、
食事を選んでくれる人たちが増えてくれたらいいなあ~と、
私次女は思っております^^。




というわけで、
1419号のお肉に出会ったら、
この姿を思い出してくださいね~^^!