2018年8月2日木曜日

暑くても貫く集団行動。そんな牛たちがなんだか微笑ましい。。


7月下旬、
それまで涼しい涼しいと思っていた北海道も、やっぱり猛暑となりました。

井上牧場のあります滝上町は、
北海道の真ん中より東側。
山に囲まれた盆地の地形なので、
夏は暑く冬は寒いのが特徴です。
夏には北海道でその日一番暑い場所、
冬には全国でその日一番寒い場所を記録することもあります。


というわけでここ数日も、
北海道で一番の気温をたたき出しています。。
あ、暑い…。
滝上、雪も結構降るしね…。
なんて厳しい環境なのでしょう。。


しかしそんな厳しい気候のこの場所は、
美味しい野菜が育つ環境だったりもするんですよ~。


facebookでも少し紹介したのですが、
こう暑いと牛さんたちにもかなり堪えます。
特に、スーパーハッチにおりますガンジーちゃんが、
熱中症のような状態に。。



気温が上がって2~3日、
なんだかぼーっと立ち尽くす時間が長く。。
これはかわいそうだね~ということで特別対応。


バスタオルをかけて上から水をかけて冷やしつつ、
獣医さんにみてもらって点滴。




ちなみに牛たちの点滴は大変、
「じっとしててね~」って言ってもじっとしていてくれないので、
ちょっと大きく動くと針が抜けてしまう…。
点滴をしている間の数十分~、
牧場の人間もその場を離れることができません。。。
暑いし。。


そんなガンジーちゃんでしたが、
みんなのお世話の甲斐あってやっと元気になってきた様子。
良かったね~^^
療養中、ということでここ数日は放し飼い(…??)状態になっているそうで、
先ほどは分娩房の草を元気そうに盗み食いしてました~。



もし牛の熱中症を感じたときは、
ただ水をかけるだけでなく、タオルをかけてから水をかけてあげるのがよいそうです。
そのままかけちゃうとどんどん水が流れてうまく冷えないそう。
首にアイスノンを巻いてあげたり、
ちびっこ牛のハッチの場合は地面の間にレンガを置いて高さを出してあげると空気が通って涼しいそうですよ~
(一般的に生まれてから2~3か月くらいまでの仔牛ちゃんはハッチという個別スペースで暮らすことが多いので、
熱がこもって暑くなりやすいのだそう~)
情報をくれた山下さん、ありがとうございました^^!


それから生の水よりも、6%以下の食塩水(生理食塩水というやつですね!)をあげるのがよいとのこと。



人間の熱中症の場合もだいたい同じよね、
首やワキなんかを中心に冷やして、
水よりもスポーツドリンクを飲む。
汗と一緒に必要な塩分が出てしまうから、摂取しなくちゃいけない~。


この近辺では特に同業者さんたちを中心に人気を集めております、
田村牧場の“福”シャチョーさんがかいている
たむら牧場のDairyDairy でも、近々熱中症で困った仔牛ちゃんがいたそうですが、
スポーツドリンクで対処してました!!
いつもすごく丁寧に牧場の日々を描写してくれているので、
牧場関係者さん、
牧場のこと詳しくのぞいてみたい方にぜひオススメですーー^^
(それからめちゃくちゃ写真がキレイ…!)

暑すぎる夏|たむら牧場のDairyDiary
http://tmrfarm.sakura.ne.jp/wordpress/?p=13739



※急に写真がキレイになりましたがこれはね、家畜写真家のAKAPPLE(あかっぷる) さんに撮ってもらったやつですふふふ。


ところで当牧場では放牧をしていますが、
サンクスビーフとなってもらうべく暮らしているオス牛くんと、
まだ出産をしていない若いメス牛ちゃんたちの一部は、
春に牛舎を出たら冬までそのままずーーっと外で過ごしています。


基本的に食べるものはずっと放牧場内の牧草。
(あと勝手に生えちゃう野草…届くヤツは敷地内にある木の葉っぱとか笹とかも…)
どんなに暑い日でもずっとお外。



そして彼らなんだかおもしろいなあと思うのが、
きちんと集団行動をとっているところ。
彼らが自由に動ける放牧場は3~4haほどもあるですが、
(実のところこの頭数に対しては広さが足りないのですが…)
いつもみんなで同じ場所にいます。
草を食べているときはみんなで食べているし、
なんとなく同じ方向に向かって移動しながら草を食べているし、
休むときはだいたいみんな休んでいます。



せっかく広いところで暮らしてるんだから
「自分の好きな時間に寝たり食べたりすりゃいいじゃん…。」
と思うのですが、
どうやそれは人間の感覚のようですね。
群れで行動する牛たちにとってはごく普通のことなのでしょう。
それでも、
「ほんとはお腹空いてるの我慢してるやついるんじゃないかなあ…」
とか、
「具合悪くて疲れてるのに移動の時間になって倒れちゃうやついないのかなあ…」
とか、
ついつい私目線で妄想してしまうのですが、
どうやらそこらへんはいらぬ心配の様子。。。


↓あっでもお昼寝タイムなのに草食べてるヤツもいるね!!笑


ちなみに、暑いにも関わらず、
放牧場の中で同じ場所にかたまっているのには、
虫を寄せ付けにくくする効果もあるそう。


まだ数か月ほどのお子さま牛ちゃんから、
出産を控えた2年ほどの若いメス牛ちゃん、
あと1か月ほどでお肉になってしまう30か月ほどのリーダーオス牛くんまで、
しかも白黒のホルスタイン、
茶色っぷりもさまざまのブラウンスイス、
オレンジだったりこげ茶だったりのガンジーと、
大きさから毛色まで個性的なメンバーで構成された牛群は、
なんだか見ていてほんわかします^^


ちびっことお兄ちゃん牛が仲良くしてる感じも、
見ているのすごく好き~。


人間都合で生まれ育つ「家畜」である彼らを、
ただただ自然に返すことはかえって「不自然」になってしまうのですが、
それでも、できる範囲で牛たちが自然体に暮らせる環境を用意すると、
私たちには、彼らのことがもっともっと幸せそうに見える。
それは何より、
私たちにとって価値があると思っております。


いつだって人間は自分勝手、
自分勝手の中でも多くのひとが「いいな」って思うもの、
選びたいものは、
キレイだったり、
気持ちのよいものだったりするんじゃないかしら。


だから食べたり飲んだりするお肉や乳製品は、
なんだか幸せそうに見える牛たちから頂くものだったらいいなあって、
自分勝手に考えているところ。


そしてやっと、
そんな「井上牧場のなんだか幸せそうに見える牛たち」から頂いた、
牛乳を加工・販売するまでにこぎつけました…。
とはいっても1パック5ℓと量が多すぎるのと、
受注生産が基本なので飲食店さんへの販売が主なのですが…^^;


2018年8月現在の今は札幌の BARISTARTCOFFEE さんにて、ガンジー牛乳。
(「ノンビリガンジー」と名付けてます!)
※お日にちによっては売り切れのことございますのでご注意を!



それから同じく札幌、PARCO地下2階にあります、
Dairy made みるく san では、
ブラウンスイス牛乳をそのままで、
(「ゴキゲンブラウン」と名付けています…!)
それからいろんなお母さん牛のお乳がミックスされてます
井上牧場産牛乳はソフトクリームになって、
(「ナイスブレンド」と名付けています…!)
味わってもらうことができます^^


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それとですね、
滝上町内の ホテル渓谷 さんでも、
朝食の牛乳で ナイスブレンド いれてくれています~^^
通常メニューでもドリンクメニューで登場している様子。
お立ち寄りの際はぜひ~♪


長くなってしまったので牛乳についてのお話はまた次回に…^^;!
(ちなみに牛乳はグラスフェッドオンリーじゃないですよ…!)