2016年7月14日木曜日

1378号の出発の日!


今朝、
昨日まで放牧場で元気に生活していた牛さんが一頭、
井上牧場から
出発しました。
1378の番号を耳につけた、雄牛くんです。
 
 

「出発」とは要するに、
井上牧場で生産しております牛肉、
サンクスビーフとして、
お肉になってもらうため、
屠畜場に送りだしたということ。




もし、近い内サンクスビーフを食べて頂く機会があったとしたら、
たぶんコイツ1378号のお肉でしょう!




 
今日の出発がスムーズに進むよう、
1378号は昨日の内に
放牧場から牛舎へ戻ってもらっていました。
ついでに、放牧していた雌牛ちゃんたち何頭かも一緒に牛舎へ。
(出産が近い子や、そろそろお母さんデビューしてもらうお年頃の牛ちゃんたちです!)




井上さんちの牛さんたちは大変素直で好奇心旺盛で、
人も大好きなので、

誰かがいる気配に気付くと、
ダッシュで移動してきてくれます。
 


昨日も、牛舎からはかなり遠い場所にいましたが、
「おいで~」と呼ぶと
みんなで走ってきてくれました。






(1378の番号をつけているアイツは、
言うことを聞いて戻ってきたら
お肉になってしまうのになあ…
と思うと、
とっても切ない気持ちになります。)

















相変わらず牛さんたちのダッシュは怖いです…!
そんなに大きい体のくせに全力で走ってこないで…!











1378号のアイツは、いつのまに先頭軍団に紛れていたようで、
気付けばスムーズに牛舎まで戻っていました~。








(↓こちらは、そんな牛たちの大移動をコンクリートの隙間からのぞいている若い牛ちゃん)







人の性格が人それぞれなように、
牛の性格も、牛それぞれ。
1378号は、最年長ではあっても、
リーダーではなかったようで。
大人しい性格だったみたいです。




人の周りに集まるときでも
いつも少し遠くから見ている牛だったよねえ、

と、話になっておりました。





私も、これまで撮影した写真のなかに、
1378号が写っているものないかなーと探したのですが、
なかなか見つからない…!




カメラを構えたときに近くに寄ってくるのって
だいたいいつも同じ顔ぶれで、

こいつの写真ばっかりだなーという子はいるのに…!
(1398番とか、1419番の耳の子はすぐ見つけられるのに…)
1378号くんは写真ギライだったかもしれないですね~笑


 

 
 

ようやく見つけたのがこの写真。
年長さんなのに、
若い牛の中に紛れ込んでこっちを見ているところです!

 



今朝、お迎えのトラックに乗るときには、
少し名残惜しそうにしながらも、
自分でトラックに乗りこんでいったとのこと。




生まれ育った牧場を離れて、
知らない屠畜場に連れていかれるとき、
いざお肉になるため命を奪われるとき、
どんな気持ちになるだろうと考えてしまうのですが。




父ヒデさんは、
「牛は、ちゃんとわかっていると思う」
と言います。
自分が最後にはお肉になってしまうこととか、
その順番がまわってきたときとか。




だから、今日の1378号のように、
井上牧場を出発する雄牛くんはみんな、
自分でトラックに乗っていくようです。




生きるために食事をするのは、
どの生き物にとっても必然のこと。
食べることが申し訳ないと思いつめることはないのでしょう。
 
だからって、
簡単に命あるものを傷つけたり、ムダに奪ったりしてもだめで。
命を頂いて、自分の命をつないでいることを、心から理解しながら、
食事できたらいいのかなあと、思います。
 



というわけで、
次回のサンクスビーフは7月末~8月以降に
食べて頂けるかしら。
個人さま向けの販売はまだ未定ですので、
詳細決まりましたら前回同様ご案内させて頂きます!




もしサンクスビーフを食べて頂く機会があれば、
そのときは、
「生きていたときのことを考えたら、
牛肉なんてとても食べる気を無くしてしまうよ…」
なんて思わずに、





「元気いっぱい自由に過ごしていた(…たぶん!)あの1378号のお肉ね!」
と思いながら、
美味しく食べてもらえることを祈ります^^。


 



2016年7月8日金曜日

切り込みをしてサイレージを作る!(井上牧場さんの場合)

 


暑い暑い7月8日。
全国的にも猛暑で大変だったようですね。
北海道滝上町も30度を超えました~。
さすが夏です。



それでも都心の暑さとはやっぱり違って、
日陰は涼しいし、
風も結構吹くので、
北海道の夏らしい暑さだったのではないかしら。
なんといっても夜が涼しいのが素晴らしい!





そんな暑い暑いこの日、井上牧場では「切り込み」をしました!



とは言いましても、「切り込み」って、小さい頃からよく聞く牧場用語ではあるのですが、
具体的に何をどうすることを「切り込み」って言っているのが全く知らず…。
牧場の娘として生まれ30年にして、ようやく「切り込み」の現場に立ち会ってきました…!
 
 
 
 
 
「切り込み」というのは、
牧草やデントコーンを刈り取って、「サイレージ」を作る作業を意味しているそうで。
 
 
 
サイレージは、いわば牛さん用飼料の「漬物」。
牧草やデントコーン(飼料用とうもろこし)を
長期保存するために作られる飼料です。
 
 
 
当ブログでも過去に、
この「サイレージ」について簡単にまとめたことがあります~
ご興味ありましたらコチラへどうぞ!

  
 
 
もし、
牛乳を飲んだり、
牛肉を食べたりするなら、
その牛さんのカラダを作る食事、
つまりは飼料についても興味をもって頂けたら幸いです。
というわけで、

今日の「切り込み」作業について紹介していきますね!


 
 
 
 
 
今回は井上牧場から車で約20分ほど離れた場所にある牧草地の牧草を、
町の「コントラさん」に頼んで刈り取って運んでもらいました!
 
 
コントラさんというのは、
コントラクター事業を営む会社さんのこと。

 
 
(「サイレージ」とか「コントラ」とか、
この業界は難しい言葉が多くて大変。。。) 
 




 
「コントラクター事業」というのは、
例えば切り込みのような飼料作りの作業を代行して行ってくれる事業とのことだそうで。
農家の人手不足、農機の導入・維持・管理費の軽減などのお悩みに効果を発揮してくれる事業です。
 
 
 
 
私次女が小学生の頃、つまり20年くらい前、
「切り込み」の具体的な作業はわからないにしても
「めちゃくちゃ忙しい期間」
だという認識はありました。
 
 
当時は地域の牧場さんと共同して、
それぞれの切り込みをお手伝いしあうという方式。
朝晩にはいつもどおりに牛のお世話&搾乳をしながら、
日中は「切り込み」をする。
天気にも左右されるし、
できるだけ早く終わらせなくちゃいけないし、
(サイレージは、草が乾燥しない内に作らないとダメなので)
他の牧場さんの分もしなくちゃいけないしで、
とにかく「切り込み」の数日間は大人たちは忙しそうなのです。

 
 
 
 
  
それでも自分たちの手で、
地域の力も借りつつ、
なんとかやってはおりましたが、
時代が変わり、酪農業はどんどん大規模化。
各牧場さんでは牛の頭数が増え、
畑の面積も増え、
それぞれで作業するのでは機械も小さく、
これまで以上に時間も手間もかかってしまう。
「とても自分たちだけではやりきれない!」
という声が多くなり。
その結果、
コントラさんのニーズが生まれたとのことです。
 
 
 
 
 
そんなコントラさんが持つ機械はとにかく大きいです!
上の大きいのは刈り取り機。
刈り取るところが3つくらいついています!
 
 
 
機械が大きくて高性能なので、広い畑でも当然作業が早い!
 
 
 
 
 
 
 
 
↑こっちは刈り取った牧草を、もっと細かく切りながら集めて、
しかもそのままトラックに積み込みもできちゃう機械です。
(たぶん)
そしてめちゃくちゃ、めちゃくちゃ高価な機械です…
超豪邸が畑を走り回っているようなもんです…
本当に農家の仕事ってダイナミックですねえ…
 
 
 
 
刈り取り&運搬作業を見学していたところ、このスゴイ機械にのせてもらうことができました!
(ありがとうございます!!!すごく面白かった~!!!)



 
 
 
 
 ↑進行方向は前です。
右上に見えるトラクターが刈り取った牧草を一列にまとめているので、
その上を走って牧草を集めながら移動しています。
 
 
 
刈り取る→まとめる→集める…。
先日紹介したロール作りのときと同じです!たぶん!
 
 
 
 
集めた牧草は、後ろについている包のような、
腕のような、
象の鼻みたいなところから、
ばばばばばばばばと出てきます。
そして
後ろについているこれまた大きなイレモノ(・・・?)の中にどんどん入っていきます!
 
 
 
 

 
 
 
 そしてこの大きなイレモノにこんもり牧草が入ったところで、
 
 
 
 
 
隣にトラック(ダンプ!)がやってきます。
 
 
そしてそのまま、イレモノからダンプへ牧草をイン!
 
 
 
そしてトラックは井上牧場へ牧草を運んでくれます。
 
 

 
 
牧草畑は、すべての刈り取り&積み込みが終わるまでひたすらこの作業の繰り返し。
トラックは数台で、
井上牧場と今回の畑を何度も往復してくれます。
 
 
牧場につくと、トラックは「バンカーサイロ」に牧草をドンドンおいていきます。
 
 
 
↑この、コンクリートでできた壁みたいなのが、バンカーサイロです。
 
 
運ばれてきた牧草は、トラクター?ショベルカー??ホイールローダ??
(機械の種類はたくさんあって全くわかりません…)
で、しっかり鎮圧。
この作業もコントラさんがしてくれます!
 
 
 
 
 
そしてまたトラックで牧草が運ばれて、
また鎮圧。
 
 
 
 
ひたすらこの繰り返しです!
今日は10haほど?の牧草を刈り取って、
トラック30台分になったそう。
それをぜんぶバンカーサイロに運んで鎮圧して、この状態に!
 
 
 
 
午前中にはここまで余裕で完了。
たくさんの大きな機械と、
作業してくれる方のおかげでとっても早い!
コントラさんのような事業、仕組みがあると、
農業・畜産業の営み方が変わるのも納得です。
もちろん利用するのには費用がかかりますけれど…!
 
 
 
自分で高価な機械を購入したり、
このときのために働き手を探したり、
この期間に必要以上に時間を取られることなく、
効率よく作業を進めることができるので、
すごくありがたい組織さんだなあと素直に感じた次第です。
 
 
 
 
 
でもまだまだ終わらないのが切り込み。
この牧草をサイレージにするため密閉するという行程が残っています。
というわけでここからは午後の作業。
 


 
 
 
牧草を運んでくる前に、コンクリートの両脇にセットしておいたビニールを牧草全体にかぶせていきます。
 
 
 
運びたての牧草はふかふか^^
 
 

両脇のビニールを、空気が入らないようにきちーんと閉じて。
頑丈なテープで張り合わせます。
とにかく空気が入らないように。
ビニールが大きすぎるので、この作業もなかなか困難。
風が強くて、ビニールがバタバタと仰がれてしまう…。
そしてビニール、大きすぎて重い…。
そして天気が良すぎて、ビニールが暑い…。
そもそも暑い…。


ですが、失敗するとせっかくの牛さんたちのゴハンが台無しになってしまうので、手抜き作業はNG。
サイレージ作りはとっても難しいようです。





穴が開いていたり、傷ついて穴が開きそうなところをみつけたら、それもテープで補強!






ビニールで全体を覆ったら、さらに上からブルーシートをかぶせます。


ただの、大きめなブルーシートかと思いきや、
専用の「バンカーシート」というやつだということにもビックリ。
でかすぎるので、開封の方向まで指示してくれています!



風にあおられながらも着々とブルーシートを広げ…





タイヤをのせて、きちんと密閉させていきます。
なぜ牧場しているお家にはこんなにたくさんのタイヤが転がっているのだろう…
といつも不思議に思っていたのですが、



サイレージ作りにこんなに大量に必要だからなのですね~。


隣のサイロからバンバンタイヤを運んでくれるのはばあちゃん。
ジョブサンを完全に使いこなしています…!








そんなこんなでタイヤをブルーシート全体にのせていけば…





こんなところでしょう!
「切り込み」の完了です!



さて、このサイレージ、上手にできているのでしょうか~。
牛さんたちがもりもり美味しく食べて、
健康に育ってくれるような、
グッドなサイレージになってくれることを願います^^