2016年7月8日金曜日

切り込みをしてサイレージを作る!(井上牧場さんの場合)

 


暑い暑い7月8日。
全国的にも猛暑で大変だったようですね。
北海道滝上町も30度を超えました~。
さすが夏です。



それでも都心の暑さとはやっぱり違って、
日陰は涼しいし、
風も結構吹くので、
北海道の夏らしい暑さだったのではないかしら。
なんといっても夜が涼しいのが素晴らしい!





そんな暑い暑いこの日、井上牧場では「切り込み」をしました!



とは言いましても、「切り込み」って、小さい頃からよく聞く牧場用語ではあるのですが、
具体的に何をどうすることを「切り込み」って言っているのが全く知らず…。
牧場の娘として生まれ30年にして、ようやく「切り込み」の現場に立ち会ってきました…!
 
 
 
 
 
「切り込み」というのは、
牧草やデントコーンを刈り取って、「サイレージ」を作る作業を意味しているそうで。
 
 
 
サイレージは、いわば牛さん用飼料の「漬物」。
牧草やデントコーン(飼料用とうもろこし)を
長期保存するために作られる飼料です。
 
 
 
当ブログでも過去に、
この「サイレージ」について簡単にまとめたことがあります~
ご興味ありましたらコチラへどうぞ!

  
 
 
もし、
牛乳を飲んだり、
牛肉を食べたりするなら、
その牛さんのカラダを作る食事、
つまりは飼料についても興味をもって頂けたら幸いです。
というわけで、

今日の「切り込み」作業について紹介していきますね!


 
 
 
 
 
今回は井上牧場から車で約20分ほど離れた場所にある牧草地の牧草を、
町の「コントラさん」に頼んで刈り取って運んでもらいました!
 
 
コントラさんというのは、
コントラクター事業を営む会社さんのこと。

 
 
(「サイレージ」とか「コントラ」とか、
この業界は難しい言葉が多くて大変。。。) 
 




 
「コントラクター事業」というのは、
例えば切り込みのような飼料作りの作業を代行して行ってくれる事業とのことだそうで。
農家の人手不足、農機の導入・維持・管理費の軽減などのお悩みに効果を発揮してくれる事業です。
 
 
 
 
私次女が小学生の頃、つまり20年くらい前、
「切り込み」の具体的な作業はわからないにしても
「めちゃくちゃ忙しい期間」
だという認識はありました。
 
 
当時は地域の牧場さんと共同して、
それぞれの切り込みをお手伝いしあうという方式。
朝晩にはいつもどおりに牛のお世話&搾乳をしながら、
日中は「切り込み」をする。
天気にも左右されるし、
できるだけ早く終わらせなくちゃいけないし、
(サイレージは、草が乾燥しない内に作らないとダメなので)
他の牧場さんの分もしなくちゃいけないしで、
とにかく「切り込み」の数日間は大人たちは忙しそうなのです。

 
 
 
 
  
それでも自分たちの手で、
地域の力も借りつつ、
なんとかやってはおりましたが、
時代が変わり、酪農業はどんどん大規模化。
各牧場さんでは牛の頭数が増え、
畑の面積も増え、
それぞれで作業するのでは機械も小さく、
これまで以上に時間も手間もかかってしまう。
「とても自分たちだけではやりきれない!」
という声が多くなり。
その結果、
コントラさんのニーズが生まれたとのことです。
 
 
 
 
 
そんなコントラさんが持つ機械はとにかく大きいです!
上の大きいのは刈り取り機。
刈り取るところが3つくらいついています!
 
 
 
機械が大きくて高性能なので、広い畑でも当然作業が早い!
 
 
 
 
 
 
 
 
↑こっちは刈り取った牧草を、もっと細かく切りながら集めて、
しかもそのままトラックに積み込みもできちゃう機械です。
(たぶん)
そしてめちゃくちゃ、めちゃくちゃ高価な機械です…
超豪邸が畑を走り回っているようなもんです…
本当に農家の仕事ってダイナミックですねえ…
 
 
 
 
刈り取り&運搬作業を見学していたところ、このスゴイ機械にのせてもらうことができました!
(ありがとうございます!!!すごく面白かった~!!!)



 
 
 
 
 ↑進行方向は前です。
右上に見えるトラクターが刈り取った牧草を一列にまとめているので、
その上を走って牧草を集めながら移動しています。
 
 
 
刈り取る→まとめる→集める…。
先日紹介したロール作りのときと同じです!たぶん!
 
 
 
 
集めた牧草は、後ろについている包のような、
腕のような、
象の鼻みたいなところから、
ばばばばばばばばと出てきます。
そして
後ろについているこれまた大きなイレモノ(・・・?)の中にどんどん入っていきます!
 
 
 
 

 
 
 
 そしてこの大きなイレモノにこんもり牧草が入ったところで、
 
 
 
 
 
隣にトラック(ダンプ!)がやってきます。
 
 
そしてそのまま、イレモノからダンプへ牧草をイン!
 
 
 
そしてトラックは井上牧場へ牧草を運んでくれます。
 
 

 
 
牧草畑は、すべての刈り取り&積み込みが終わるまでひたすらこの作業の繰り返し。
トラックは数台で、
井上牧場と今回の畑を何度も往復してくれます。
 
 
牧場につくと、トラックは「バンカーサイロ」に牧草をドンドンおいていきます。
 
 
 
↑この、コンクリートでできた壁みたいなのが、バンカーサイロです。
 
 
運ばれてきた牧草は、トラクター?ショベルカー??ホイールローダ??
(機械の種類はたくさんあって全くわかりません…)
で、しっかり鎮圧。
この作業もコントラさんがしてくれます!
 
 
 
 
 
そしてまたトラックで牧草が運ばれて、
また鎮圧。
 
 
 
 
ひたすらこの繰り返しです!
今日は10haほど?の牧草を刈り取って、
トラック30台分になったそう。
それをぜんぶバンカーサイロに運んで鎮圧して、この状態に!
 
 
 
 
午前中にはここまで余裕で完了。
たくさんの大きな機械と、
作業してくれる方のおかげでとっても早い!
コントラさんのような事業、仕組みがあると、
農業・畜産業の営み方が変わるのも納得です。
もちろん利用するのには費用がかかりますけれど…!
 
 
 
自分で高価な機械を購入したり、
このときのために働き手を探したり、
この期間に必要以上に時間を取られることなく、
効率よく作業を進めることができるので、
すごくありがたい組織さんだなあと素直に感じた次第です。
 
 
 
 
 
でもまだまだ終わらないのが切り込み。
この牧草をサイレージにするため密閉するという行程が残っています。
というわけでここからは午後の作業。
 


 
 
 
牧草を運んでくる前に、コンクリートの両脇にセットしておいたビニールを牧草全体にかぶせていきます。
 
 
 
運びたての牧草はふかふか^^
 
 

両脇のビニールを、空気が入らないようにきちーんと閉じて。
頑丈なテープで張り合わせます。
とにかく空気が入らないように。
ビニールが大きすぎるので、この作業もなかなか困難。
風が強くて、ビニールがバタバタと仰がれてしまう…。
そしてビニール、大きすぎて重い…。
そして天気が良すぎて、ビニールが暑い…。
そもそも暑い…。


ですが、失敗するとせっかくの牛さんたちのゴハンが台無しになってしまうので、手抜き作業はNG。
サイレージ作りはとっても難しいようです。





穴が開いていたり、傷ついて穴が開きそうなところをみつけたら、それもテープで補強!






ビニールで全体を覆ったら、さらに上からブルーシートをかぶせます。


ただの、大きめなブルーシートかと思いきや、
専用の「バンカーシート」というやつだということにもビックリ。
でかすぎるので、開封の方向まで指示してくれています!



風にあおられながらも着々とブルーシートを広げ…





タイヤをのせて、きちんと密閉させていきます。
なぜ牧場しているお家にはこんなにたくさんのタイヤが転がっているのだろう…
といつも不思議に思っていたのですが、



サイレージ作りにこんなに大量に必要だからなのですね~。


隣のサイロからバンバンタイヤを運んでくれるのはばあちゃん。
ジョブサンを完全に使いこなしています…!








そんなこんなでタイヤをブルーシート全体にのせていけば…





こんなところでしょう!
「切り込み」の完了です!



さて、このサイレージ、上手にできているのでしょうか~。
牛さんたちがもりもり美味しく食べて、
健康に育ってくれるような、
グッドなサイレージになってくれることを願います^^