2016年9月28日水曜日

今朝の放牧場と9月の渚滑川

 
 
9月28日の今日は、ちょっとした事件から始まったそうで。
 
 
放牧場にはお肉になってもらう予定のオス牛さんたちのほかに、
出産をしていない、搾乳デビュー前のメス牛さんたちも何頭か暮らしています。
 
 
その中の、妊娠中のメス牛さんが、放牧場の中で出産してしまったそうで。
 
 
 


いつもなら、出産の前には放牧場から牛舎に戻して、
分娩待ちの牛さんたちを分けたスペースで出産を待つのですが、
予定より少し早かったのか、
(放牧場から牛舎へ連れ戻すのが遅かったのか、、、)
野外出産となってしまったようです。
なかなか珍しい状況ではないかと思われます!




お産は少し難航したようですが、
少しお手伝いをして無事に仔牛が生まれました!





仔牛を見るのが珍しいのか、
なんだか騒がしいなということで見に来ただけなのか、
ギャラリー(放牧中の牛さんたち)も多く集まっていたそう。


 
 
新しい仲間の誕生にテンションが上がったのか飛び跳ねて駆け回る牛さんもチラホラ。
 
 
あんまり走ったり跳んだりしないでね、、、君たち大きくて怖いから…笑
 

 

 
 
 
出産を終えた新米お母さん牛さんは、搾乳をさせて頂くため牛舎の中へ。
久しぶりの牛舎、牛舎内メンバーとの同居生活、初めての搾乳などなど、慣れないことばかりで大変だろうなあ…。

 



新入りなので、先輩お母さん牛さんたちからちょっといじわるされていたようですが、
なんとか食事もできている様子。


なんか気の強そうな顔をしているのできっと大丈夫でしょう!
元気に美味しい牛乳出してくれるといいですね~^^



 
 
こちらは生まれた仔牛ちゃん。
本日は曇り空で気温も低めなので、寒そうで心配。
ヒデさんのお古のフリースをかけて温まっています。
 
 




この子はホルスタインの男の子です。
そのため、井上牧場では長く飼育することができないので、
近い内に手放すことになるそう。
草の上で生まれた珍しい牛くんなので、井上牧場で長いこと成長を見守ることができないのはちょっとザンネンですが…
 
 
元気に出発して、新しい牧場でも元気に大きくなってもらわねばなりません。
頑張って生きるんだぞー!



 
さてさて、本日報告しようと思っていたのは、サケの遡上のこと。
 
 
9月の中頃から、井上牧場周辺にある渚滑川には、たくさんのアキアジやカラフトマスが遡上しています。

 
 
 
 
 
アキアジというのは、この季節にこのあたりの川で見られる鮭の呼び方。
秋だからアキアジ…ということでよろしいようです!
 
 
 
アキアジ、カラフトマスが遡上しているこの景観は、とにかくエネルギッシュで、迷いがなくて、強くて、とても惹かれます。
 
 
 
 

アキアジたちのおかげで、川はいつもよりにぎやか。
川の流れる音に、
魚たちが泳いだり、はねたりする音が重なります。


ちなみにカラフトマスの方が遡上、産卵時期が早いので、
もうすぐ遡上はおしまいだそう。
アキアジことサケは、12月頃まで遡上するようです。


この動画でメインに写っているのはきっとカラフトマス…たぶん!

 
 

サケは海の魚というイメージが強いですが、もともとは淡水魚。
秋~冬にかけて生まれた川で成長して、
春になったら広い海、北太平洋へ向かいます。


それから何年か海を回遊したのち、
ふるさとの川へと戻って産卵するのです。
だから今ここにいるこの魚たちは、この町の出身。
「母川回帰」という習性だそうです。



 
 
実はカラフトマスの方が、母川回帰の確率は低いそう。
サケは90%~100%でふるさとの川に戻りますが、
カラフトマスはだいたい60%とのこと。
 
 
ふるさとの場所がわからないのか、あまりこだわりがないのか。 
戻る場所が生まれ育った土地に限らないっていうのも、
環境適応力が高いってことなのかもなーと思ってみたりします。
 
 




川のそばに近づくと、手づかみできそうな距離に、大きなサケたちが泳いでいます。


息絶えたサケたちもたくさんいます。




と言いますのも、
サケやカラフトマスは、
生まれた川へ戻って産卵するのは一度だけ。
産卵を終えると、一生も終えます。





こんなにたくさんの魚が、
しかも目の前にいるので、
すごく簡単に捕まえられそうな気がしますが、
自分の命を顧みずに、
「次の命へと繋げる」という使命を全うしているんだと思うと、
とても邪魔する気にはなれません。



ちなみに、遡上しているこのサケ、カラフトマスたちを捕獲するのは密漁なので、そもそもNGです!


 
 
 

広い海からふるさとの川に戻る道のりは、もちろん簡単な道ではないでしょう。
 
 
流れの強い場所もあれば、
大きな岩もあったり、
水の浅いところもあるかもしれない。
 
 
大雨や強い風で川が荒れることもあるでしょう、
ちょうど9月は北海道に大きな台風が3つも訪れました。

実際に、今この川を泳いでいる魚たちは傷だらけでボロボロです。
産卵・繁殖のために遡上するサケたちは、このように傷がつき、身も脂も落ちているので味が悪く、食用にはならないのだそうです。
そのため、死んでしまったサケも含めて「ほっちゃれ」と呼ばれているそうです~。




サケやカラフトマスの中には、
生まれてから大きくなる前に食べられてしまう子もいるだろうし、
海を回遊中に死んでしまったり、漁で獲られてしまう子もいるでしょう、
遡上の途中で命を落とす子もいるはずです。


それでも、ここに戻ってきた魚たちは精鋭中の精鋭、
もしくは、ラッキー中のラッキーフィッシュたちに違いありません。
死んでしまった子だって精一杯生きていたチャレンジャーです。
もう全員スゴイです。




そもそも、生まれた川の方向や道順を、
きちんと覚えているっていうのも不思議です。
ニオイや、太陽の位置、磁気、海流なんかを利用して判断しているのではないかと言われています。



自然を生きる生物たちの感性や感覚、記憶は、
今の私たちには想像できる範囲を超えているのかもしれませんね~。





自分のやるべきこと、使命を知っていて、
危険や障害があっても、
命を終えることになっても、
迷いなくその道を進んでいくサケたちは、
本当にカッコイイ。



少しでも多くの卵が孵って、この先もずっと、この光景が見られることを願います。
ガンバレ!サケ&カラフトマス!!!