2018年10月16日火曜日

2018年秋の井上牧場!牛たちと紅葉と川がいい感じです!



冒頭の写真は三女あみちゃんによる作品!

牧場での暮らしは日々、
出会いと別れの繰り返しです。

井上牧場では年に何十頭もの仔牛ちゃんが産まれるのですが、
産まれたばかりの仔牛ちゃんは人とあんまり目を合わせてくれなかったり、
人のこと信用していない表情をしています。(あたりまえだけど…)
何も口にしないけれど
「またこの世界に生まれてきてしまった…」
みたいなこと思ってそうな、
虚ろな表情に見えるのだけど、
哺乳瓶から飲むミルクを覚えたらすぐに虜になるそうです!笑


↑仔牛たちのほとんどは人からもらうミルクに夢中なので人間大好きです、
会いにいくと外にでてきて挨拶してくれます~


多くの酪農家では仔牛ちゃんは生まれて数時間内には、
お母さん牛と離れ離れになってミルクは人からもらっています。
そのミルクはお母さんのものだったり、
ほかのお母さん牛の初乳を冷凍したものだったり、
粉ミルクだったりします。
直接お母さん牛からもらえたら、
仔牛だって嬉しいんじゃないかな~と思うけれど、
そうしない理由もあります。
酪農業界の慣例には、思いもしない不思議なことがたくさんあるのです~。


↑こちらはきっとつい一昨日くらいまで
「まだこの世界の何も信じていない目」をしていただろう仔牛ちゃんは
(まだちょっと虚ろな表情している…!)



そしてこの仔牛ちゃんのお母さん。
どうやら出産後、立てなくなってしまったそう。↓


出産後に立てなくなってしまうお母さん牛は、
酪農家さんでは少なくないそうです。
井上牧場でも年に何頭もいます。
出産によって血中カルシウムが不足してしまうことが原因だそうですが、
品種改良によってたくさんのお乳を出せる体質になってきたことが、
牛さん自身のカルシウム不足につながっているのだそうです~。



それから今日、井上牧場から1頭のお母さん牛が出ていきました。
↓これは昨冬に寒すぎて鼻周りの毛が凍っちゃってるときの顔ですふふふ笑


彼女は2010年12月生まれで、
もうすぐ7歳になるところでした。
出産の回数は5回。


乳質が悪くなってしまったので、
淘汰することが決まりました。


乳質が悪い、と言っても、
彼女のお乳が混ざっていても、
乳業メーカーは生乳を買ってくれるくらいの成分です。


ここ何か月か、
私次女が牛乳工房をはじめてしまったので、
より"キレイ”で"安心と思われる”生乳を原料とするため、
というのも1つ。


これから冬に向けて、
放牧中の牛たちが牛舎に戻ってくるので、
牛舎が狭くなりすぎないように牛の数を減らす必要もある、
というのも1つ。


1142ばんが今朝出ていくのはわかっていたけれど、
今回もまた積極的にお見送りに行かなかったために、
遭遇できた頃にはもうトラックのなかでした。
ほか牧場さんからきたお母さん牛たち何頭かと相乗りです、
彼女たちの行く先は同じと畜場。


モノゴトには何でも表と裏があります。
経済効果のみを重視した大量生産の裏側には、
自然や動物たちへの負担がつきまとっています。
その反対に、経済的な価値をあげることで、
自然や動物たちに配慮できることもあります。
井上牧場はまさにその狭間で、
迷いながら悩みながら、牛飼いとしての姿を追究しているんだろうと思います。


1142ばん、おつかれさまね、ありがとう!!
きっと私も忘れてしまうだろうから、
こうしてブログにぐらい記録させてもらいました~。


さて、引き続きここ最近の様子を紹介していきましょう。
先日facebookでお伝えしましたとおり、
10月から放牧場を移動しました。



これまでの放牧場は、写真の右側。
牛舎に向かって右側の草地。↓


ここから道路を渡り、
牛舎を背にして右側の牧草地へと引っ越ししています!




この放牧場はこれまでずっと"採草地”でした。
つまり牧草畑、牧草を収穫してロールにするための場所だったので、
牛たちは踏み入れたことのない場所です。


道なりに線を引いたり(電気はいれていないただのヒモ…)
誘導したり、
通せんぼしたりしながら
何人かで見守っての移動でしたら、
なんとか無事に引っ越しが完了^^


その様子は10月10日にfacebookにて紹介しました~^^



そう、厳密にはこの引越し映像は2回目のもので、
初回の移動を覚えていたからスムーズに移動できたっていうのもあります。
初回のときはグループが2回に分かれての引っ越しでした~。
初めて新放牧地に移動したときの牛たちの様子です。
全容を確認するようにみんなで走り回ってて楽しそうです^^



ちなみにこの2日後、
なぜか全員で旧放牧地に戻ってしまう大脱走事件もあり。
また改めて引っ越しするはめになりました…。


朝の牧場作業中に、
新放牧地の電牧を倒し、
全頭でもとの道をダッシュして移動したそうな…。
(ドドドドドドドドドってめっちゃ牛走ってきてばあちゃんが悲鳴あげてたそうです)
↓これがその日の朝の様子。


誰も敷地外に逃げださなかったのは不幸中の幸いです!
もといた場所にみんなで戻れるなんてほんとうに物覚えがいいし、
団体行動が上手な彼ら。



新しい放牧場はこれまでに比べてかなり狭いのですが、
道路からでも牛たちが近くて、
ちょうど木々が紅葉していて景観がいい感じ。



この奥には"渚滑川”につながる川が流れているのですが、
この放牧地ではこの川水を牛さんたちの飲み水とすることにしました。
これまでの放牧地では水のみ場を用意して水道水を飲んでもらっていたので、
井上牧場にとってはちょっとチャレンジングな設定!


川辺まで入れるのは放牧場内の一部だけ。
ちょっと見えにくいけど、電牧を川の反対側まで伸ばして、
この範囲からは出ないようにしています。


10月の今は、ちょうど秋鮭(アキアジ)の産卵期で、
たくさんのサケたちがこの川をのぼっています。

↓魚影わかりにくくてごめんなさい笑
手前に1匹、中央付近に1匹写っているのではないか、と思います。
実際に川辺に降りるとたくさんのサケたちが上流に向かって泳いでいくのが見えます^^



牛たちにとって、川のこんなに近くまで来るのはもちろん、
川の水を飲み水にするのも初めてのこと。
ちゃんと水飲み場だって判断できるか心配でしたが、、、
大丈夫、使えてました!!


上手に川辺から水を飲んでいます、よかった~!


足湯(、、、水?)みたいにして
川に浸かっているだけの方もいました…!


 向こう岸に渡って、
土をモグモグしたり、
木の根っこで遊んでいる子もいました~。


川に行くときも、
集団行動なのでみんな一緒。
ひとまず、新放牧地でもなんだか楽しそうに見えるので一安心です^^
川から上がった牛たちは蹄もピカピカだしね!



オス牛くん~育成中メス牛ちゃんの放牧場暮らしも今年はあと僅か。
雪が積もり始めるまでは、ここで過ごしてもらいます!
短い秋を楽しんでもらえるといいな~!



1 件のコメント:

  1. 牛達の新しい放牧場から元の放牧場に脱走して戻って来るのは、初めての牛では当たり前ですね。
    自分も、公共放牧場で働いているので春の放牧時期は集団放牧になれていないので電牧柵を壊して脱走は当たり前で、牛にこき使われていました(笑)15日位すれば慣れて人間の思い通り牛をコントロールすることが出来ます。今はどの牛も牧場職員に懐いて撫でてと寄ってきます。そんな牛達も25日に生まれた農家に里帰りします。

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