2017年11月22日の井上牧場の放牧地の様子です。
あんなに一面緑だった畑ですが、すっかり雪で埋もれてしまいました~。
ここ何日かは雪が降ったり、気温が下がったり。
道路はツルツルだったり。
もう北海道の厳しい冬が始まっています…。
そして今年、2017年は11月8日で放牧を終了しています!
半年ほど野外で暮らしていたオス牛くんたち、
若い女子牛ちゃんたちも
これから春までは牛舎の中で過ごします。
狭い牛舎内は窮屈で退屈なのか?
寒くて広い放牧場を歩かずとも、雨風が避けられてすぐそこで食事ができる牛舎生活のほうが快適なのか?
彼、彼女たちの本当の思いはわかりませんが。
“できるだけ”牛本来の姿で暮らしてもらうために、
可能なかぎり放牧場で暮らしてもらっています。
とはいっても牛舎に戻る前の数日間は、
いつも電牧柵付近に集まっていまして。
牛舎に入りたそうにしているように見えていました…
寒いし食べる草少ないですからね~^^;
そしてこの放牧終了の次の日、
牧場を出発した牛くんがいます。
1388515063の牛くんです。
今月にサンクスビーフ、1505のお肉を
小分け販売を開始したところなのですが、
(こちらまだ販売中です^^
ご興味ある方は 井上牧場サイト|お肉のご注文 へどうぞ~!)
11月末に行われるとあるイベントにて
サンクスビーフを使いたい、とのご要望を頂きまして、
少し早いタイミングでしたが1頭出発してもらうことになったのです。
そのイベントと言うのが、
11月30日に東京の八芳園で行われる
ALL ATHLETE DREAM DINNER。
一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会(この後は「自然栽培パーティ」と記載させて頂きます!)が主催するイベントです。
「全国の福祉施設で利用者の方に無肥料、無農薬で農業を広める」という自然栽培パーティの活動は、
今や多くの注目を集めているそう。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、
食材の調達基準として「持続可能性に配慮した食材」が掲げられていて、
今回のALL ATHLETE DREAM DINNERもそれを見据えた企画。
「持続可能性に配慮した食材」として、
自然栽培パーティに参加する施設で作られた野菜、
”アニマルウェルフェア”の考え方で育てられた動物のお肉を用意し、
それらを一流シェフたちが料理。
その料理を日本を代表するアスリートをはじめ多くの方に楽しんでもらうという内容です。
当日は300名~400名ほどの方が集まる様子。
詳細はコチラです↓
http://shizensaibai-party.com/wp-content/uploads/2017/10/dream-dinner-flyer.pdf
このなんだか壮大でスゴそうなディナーの食材として、
井上牧場のサンクスビーフが登場する予定です!
自然にやさしく、安心できる食材を紹介している
Eat Natural の池嶋さんがサンクスビーフを見つけてくださったことをきっかけに、
今回のディナーで使う“アニマルウェルフェアなお肉”として
井上牧場のサンクスビーフをご要望頂くこととなりました。
こんなに多くの方に、
一度にサンクスビーフを食べて頂く機会は初めて。
とてもありがたいお話です!
これは1506(赤くなっている4桁でこう呼んでいます!)くんの
出生からお肉になるまでの記録。
家畜改良センターのページから調べることができます。
1506くんは、生まれてからお肉になる前日までずっと井上牧場で過ごしていたことがわかります。
家畜改良センターHP
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html?pc
“アニマルウェルフェア”という言葉は、
まだまだ多くの方になじみがないかもしれません。
アニマルウェルフェアについて明確かつ簡潔に説明するのはちょっと難しいのですが、
日本語に直訳すると「動物福祉」。
私がいまできるだけ簡単に説明するとしたら、
「快適で、幸福に過ごせる生活環境で動物を飼育する。それについて配慮する、考える」っていう感じでしょうか。
ペットや野生動物については、
保護や愛護なんていう考え方が一般論になっているように思いますが、
自分たちが口にする肉や卵などの元になる
”家畜”と言われる動物たちの置かれる環境については、
イメージがわきにくい人も多いかもしれません。
卵を産む鶏たちは狭い「バタリーケージ」なる場所で飼育されているとか、
お肉となる子豚を繁殖させるためのお母さん豚も、狭い「妊娠ストール」で飼育されているとか、
牛乳を生産させるための牛たちも、「つなぎ飼い」だったり頭数の多い「フリーストール」だったり、これまた狭い場所で飼育されてるとか、
多くの家畜は動物本来の寿命よりかなり短い期間で命を終えることになっているとか。
鶏や豚や牛など家畜と呼ばれる動物たちの置かれる環境は、
必ずしも快適じゃなかったり、
不健康と思われる飼育方法だったり。
要するに「工場」的な環境であることも、
全部ではないけれど少なくないのが実際のところです。
↑生後31ヵ月でお肉になった1506は、すっきりした顔立ちでおだやかな印象!
”アニマルウェルフェア”の定義が結構曖昧なのですが、
これを叶えるものとして国際的に認知されている基準、目標とされているのが「5つの自由」というもの。
その5つというのが以下です。
①飢えや渇きからの自由
②痛み、負傷、病気からの自由
③恐怖や抑圧からの自由
④不快からの自由
⑤自然な行動をする自由
正直に言って、
「井上牧場がアニマルウェルフェアを実践できているか」
については、
今のところ井上牧場が自信をもって答えたりはしないでしょう。
私からみてもこの牧場の飼育方法が必ずしもアニマルウェルフェアかは、判断できないし、
むしろまだまだ苦しい思いをさせているだろうなあ、
と感じるからです。
(せっかく「アニマルウェルフェアなお肉」として選んでもらったのにこんなことを書いたら大変なことになるでしょうか…!笑)
※↑明日旅立つ1506くんとスキンシップをとる仔牛係あみちゃん(暗いから写真ぼやぼや)
井上牧場では、
痛い思いをさせて除角(角切)をします、よっぽど大きくならないうちは麻酔しません。
サンクスビーフの雄牛くんは去勢をします、ここは麻酔をします。
お母さん牛のほとんどは年中牛舎内で過ごします。
牛乳をもらうため、牛たちの意思に関わらず人工授精をして、妊娠・出産してもらいます。
草食動物であるはずのお母さん牛たちには穀物飼料も与えます(でも彼女たちは穀物好きです)。
牛舎に戻ってきたオス牛くんたちには、美味しそうに見えているでしょう穀物飼料は与えられません。
放牧中の牛さんたちは、雨が降っても風が吹いても屋根のない外で過ごします。
牛舎も雪や風がビュービュー入り込みます。
牛たちにとって何が幸せでアニマルウェルフェアなのか、
私たちには正確なことはわからないし、
できるだけ楽しいように、苦しくないように…と思っても、
お乳やお肉を頂く牛飼いとしては、
牛たちに強いることが多くあります。
それでも、
牛飼いを営む上で生まれてきた命に向き合って大切にしたい、
健康で幸せな牛たちから健康な食べ物を頂きたい、
そんな思いから続けているのが、
「できるだけ放牧で、牧草だけ食べて育った乳牛の牧場で産まれた雄牛くんのお肉」
サンクスビーフです。
そしてそんなサンクスビーフが育った環境や背景を、
嘘のないようにお伝えすることで、
普段食べているものに興味をもってもらったり、
「食べるならこんなお肉がいい」
「井上牧場で育った牛のお肉なら安心!」
なんて思ってもらえたらいいな~と願っています。
そんな井上牧場の取り組みを”アニマルウェルフェアなお肉”として選んで頂けたことは、
素直に喜ばしいです^^
11月30日のディナー、どんな内容になるのか楽しみです!
1506のお肉を大切に美味しく召し上がって頂けますように!
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